目の下のクマやたるみは、顔の印象を大きく左右する悩みです。
ヒアルロン酸注射は、これらの症状を改善する有効な治療法の一つですが、目の下は皮膚が薄く血管が透けやすいため、製剤選びと施術技術が特に重要になります。
この記事では、目の下のヒアルロン酸治療について、適切な製剤の選び方からリスク対策など詳しく解説していきます。
目の下の悩み別アプローチ – クマの種類とたるみの程度
目の下の悩みは大きく分けて「クマ」と「たるみ」に分類されます。それぞれの症状に応じて、適切なヒアルロン酸製剤と注入方法が異なります。
クマの種類と対応
- 茶クマ(色素沈着型)
- 原因:メラニン色素の沈着
- ヒアルロン酸の適応:△(効果限定的)
- 推奨:美白治療との併用
- 青クマ(血行不良型)
- 原因:血行不良による静脈の透け
- ヒアルロン酸の適応:○(ボリューム補充で改善)
- 注意:浅層への注入は避ける
- 黒クマ(影クマ・たるみ型)
- 原因:眼窩脂肪の突出とくぼみ
- ヒアルロン酸の適応:◎(最も効果的)
- ポイント:涙袋下の凹みを埋める
クマの種類 | ヒアルロン酸の適応 |
---|---|
茶クマ(色素沈着型) | △(効果限定的) |
青クマ(血行不良型) | ○(ボリューム補充で改善) |
黒クマ(影クマ・たるみ型) | ◎(最も効果的) |
たるみの程度による分類
軽度:細かいちりめんジワ程度
- 薄めのヒアルロン酸を浅層に注入
- ベロテロバランス等が適応
中等度:目袋が目立ち始める
- 中層から深層への注入が必要
- ボルベラXCなどの柔らかい製剤
重度:明らかな眼窩脂肪の突出
- ヒアルロン酸単独では限界
- 脱脂術との併用を検討
目の下に最適な製剤の詳細比較
目の下の治療では、以下の点を考慮して製剤を選択します。
- 粒子の滑らかさ(チンダル現象のリスク)
- 柔らかさ(自然な仕上がり)
- 持続期間
- 吸水性の低さ
ボルベラXC(アラガン社)
特徴
- 最も粒子が細かく滑らか(ボルテックス技術)
- 非常に柔らかく自然な仕上がり
- 持続期間:約12〜18ヶ月
- チンダル現象のリスクが最も低い
適応
- 涙袋形成
- 目の下のくぼみ改善
- 細かいシワ治療
ベロテロ(メルツ社)
特徴
- CPM(Cohesive Polydensified Matrix)技術
- 組織への馴染みが良い
- 持続期間:約9〜12ヶ月
- 施術後の腫れが少ない
適応
- 浅いシワの改善
- 涙袋形成(薄い皮膚の方)
テオシアル RHA2(テオキサン社)
- 動的シワに強い
- 表情の変化に対応
- 持続期間:約12ヶ月
スタイレージS(ビバシー社)
- 抗酸化成分配合
- 皮膚の質感改善効果
- 持続期間:約6〜9ヶ月
チンダル現象について知っておくべきこと
チンダル現象とは、浅く注入したヒアルロン酸が青く透けて見える現象です。目の下は皮膚が薄いため、特にこのリスクが高い部位です。
予防のためにできること
- 適切な製剤を選ぶ
- ボルベラXCやベロテロなど、粒子が細かい製剤がチンダル現象のリスクが低いとされています
- 医師に相談し、目の下に適した製剤を選んでもらいましょう
- 経験豊富な医師を選ぶ
- 目の下の施術経験が豊富な医師は、適切な深さに注入する技術を持っています
- カウンセリングでチンダル現象のリスクについて質問してみましょう
- 段階的な施術を検討する
- 初回は控えめに注入し、必要に応じて追加する方法もあります
- 一度に多量を注入するとリスクが高まる可能性があります
施術のリスクと対策
目の下のヒアルロン酸注射には、他の部位にはない特有のリスクがあります。
主なリスク
- 血管塞栓
- 最も重大な合併症
- 失明のリスクあり
- 対策:解剖学的知識、アスピレーション
- 内出血・腫れ
- 発生頻度:高い(約30-50%)
- 持続期間:1〜2週間
- 対策:アイシング、圧迫
- 凹凸・しこり
- 不適切な注入による
- 対策:マッサージ、ヒアルロニダーゼ
- アレルギー反応
- 極めてまれ(0.1%未満)
- 事前のパッチテスト推奨
リスクを最小限にする方法
- 経験豊富な医師の選択
- 正規品の使用
- 適切なアフターケア
- 定期的なフォローアップ
料金相場
目の下のヒアルロン酸注射の料金は、使用する製剤や注入量により異なります。
製剤別の料金目安(1cc あたり)
ボルベラXC | 60,000〜100,000円 |
---|---|
ベロテロ | 50,000〜80,000円 |
テオシアル RHA2 | 45,000〜75,000円 |
スタイレージS | 40,000〜65,000円 |
施術に必要な量
目の下の治療では通常0.5〜1.0ccを使用します。両側で1〜2cc程度が標準的です。
トータルコスト
初回施術:80,000〜200,000円
メンテナンス:年1回程度、初回の60-80%程度
よくある疑問
- 目の下のヒアルロン酸注射の効果はどのくらい持続する?
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一般的に、使用する製剤により異なりますが、12〜18ヶ月程度持続するとされています。目の下は動きが多い部位のため、他の部位よりもやや持続期間が短くなる傾向があります。
- 施術後、どのくらいでメイクができる?
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多くのクリニックでは、施術当日からメイクは可能とされていますが、感染リスクを避けるため、施術後6時間程度は避けることが推奨されています。また、強くこすらないよう注意が必要です。
- ダウンタイムはどの程度?
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個人差がありますが、一般的に腫れは3〜7日程度、内出血が出た場合は1〜2週間程度で改善することが多いようです。大切な予定がある場合は、2週間以上前の施術が推奨されています。
- 失敗した場合、修正は可能?
-
ヒアルロン酸はヒアルロニダーゼという分解酵素で溶解可能とされています。ただし、完全に元に戻すことは難しい場合もあるため、最初から信頼できる医師を選ぶことが重要です。
- 他の部位と同時に施術できる?
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一般的には可能とされています。ほうれい線のヒアルロン酸と同時に施術することで、顔全体のバランスを整えやすくなるという意見もあります。ただし、注入量が多くなると腫れも強くなる傾向があるようです。
- 脱脂術とヒアルロン酸、どちらが良い?
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症状により適応が異なるとされています。眼窩脂肪の突出が強い場合は脱脂術が適応となることが多く、くぼみが主な症状の場合はヒアルロン酸が有効とされています。併用されることもあるようです。
まとめ
目の下のヒアルロン酸注射は、適切な製剤選択と高い技術力が求められる施術です。ボルベラXCやベロテロなど、粒子が細かく柔らかい製剤を選択し、解剖学的知識に基づいた安全な施術を受けることが重要です。
施術を検討されている方は、ヒアルロン酸注射はどれがいい?失敗しない選び方も参考にしながら、信頼できる医療機関で十分なカウンセリングを受けることをお勧めします。
目の下の治療は顔の印象を大きく変える可能性があります。リスクと効果を十分に理解した上で、慎重に判断することが大切です。
