エルメスは、その名前だけで多くの女性の心をとらえるブランドですが、中でも「ケリードール」は特別な存在感を放っています。
ケリードール（Kelly Doll）シリーズは、エルメスの伝統的なエレガンスとモダンな遊び心が融合した、特別な存在感を放つアイテムとして知られています。
エルメス ケリードールの魅力と歴史
エレガントな起源から生まれたキュートなバッグ
1999年に初めて発表された「ケリードール」は、そのユニークなデザインと機能性で瞬く間にファッション界の注目を集めました。
キュートな笑顔と独特のフォルムが、大人の女性たちの心をくすぐり、一目でその特別さを感じさせてくれます。
そんなケリードールは、1930年に初めて発売されたエルメスを代表するバッグ「ケリーバッグ」の形をベースとしています。
映画スターであり王族でもあったグレースケリー（Grace Kelly）が、妊娠中のお腹を隠すために使ったバッグということで「ケリー」という名前が付けられました。
洗練された台形のシルエットと短いトップハンドルが、大人の魅力を醸し出しているケリーバッグとは違い、キュートな顔のデザインや独特のフォルムが特徴のケリードール。
「ケリードール」は、単なるバッグ以上の存在として、世界中のファッショニスタやコレクターを魅了し続けています。
その魅力の秘密は、伝統と革新のバランス、そして時代を超えて愛され続けるデザインにあるのかもしれません。
エルメス ケリードールの種類
バリエーション豊かなケリードール
（2000年〜2005年）
ケリードールは発売開始以来、さまざまなバリエーションや限定版が発売されてきました。
2000年から2005年にかけては、8つのクラシックな色で発売されました。
ルージュアッシュ-Rouge H
ブラック-Black
オレンジアッシュ-Orange H
ノアゼット-Noisette
ブルーサフィール-Blue Saphir
ヴェールオリーブ-Vert Olive
アップルグリーン-Vert Cru
ルージュビフ-Rouge Vif
限定版のケリードール
（2008〜2010年）
2005年に生産終了となったケリードールは、2008年に復活し、希少なコレクターアイテムとしての評価が高まり始めました。
エルメスは特にアジア市場に焦点を当て、新しいブティックのオープンを記念して、限定の特別なカラーでケリードールをいくつか生産しました。
2009年 台北
ベラヴィタブティック
オープン記念
バーミリオン
ブルージャン/エベーヌ
2010年 香港
SOGOブティック
オープン記念
ローズサクラ
オレンジ/ソレイユ
2015年 シンガポール
レザーフォーエバー
(2015年)
ケリードールは2015年に再登場し、シンガポールの独立50周年の祝典の一環として注目を集めました。
エルメスの職人たちは、ブランドの「レザーフォーエバー」旅行展示会のために、シンガポールの自由を象徴する、異なる10年代を表す5つのユニークなケリードールを制作しました。
このケリードール達は、最も緻密なケリードールで、エキゾチックな素材、刺繍、装飾が組み合わされ、製作にはそれぞれ7か月もの時間がかかったそうです。
エルメスは展示会の終了後に、このケリードール達を慈善オークションで販売したとしていますが、二次市場では見かけられていません。
HSSケリードール
(2017年)
2017年は、ケリードールにとって新たな時代の幕開けとなりました。
エルメスは、特別なイベントや新店舗のオープンだけでなく、鮮やかな色彩、エキゾチックレザー、そしてパラジウムとゴールドの金具を採用したケリードールを定期的にリリースし始めました。（ただし、非常に限定的に）
さらに、エルメスのトップクラスの顧客に対して、ケリードールを特別注文（HSS）のオプションとして提供し始めました。
定期的にリリースされ、またHSSのオプションとして提供され始めたケリードールですが、依然として非常に希少なバッグとなっています。
当然、ブティックのフロアで見かけることはなく、長い間良い関係を築いた後でなければ提案されることはありません。
二次市場で購入が可能に
しかし、この年以降、二次市場ではより多くのケリードールが選べるようになりました。
手や足、顔の特徴が鮮やかな対比色で描かれた美しいバイカラーバージョンのケリードールも含まれています。
ケリードールの最も特別なスタイルは、エキゾチックなレザーで作られたものです。
ケリードール タッチは、スイフトのボディにマットなアリゲーターのアクセントが特徴です。
さらに高価なものには、全体がマットアリゲーターのボディがあり、これらのバッグはオークションでばしば高値を記録しています。
ケリードール チャーム
(2021年)
2021年、エルメスはバッグチャームのラインナップにミニチュアのケリードールを追加しました。
実は、ケリードールがチャームの形で登場するのはこれが初めてではありません。
2011年には、エルメスが高島屋東京とのコラボレーションでオレンジHのレザーで作られた2Dのケリーバッグチャームを販売されました。
また2018年にはスペースインベーダー風のラバーバージョンが銀座で開催された「ジングルゲームズ」イベントと共に登場しました。
ケリードール ピクト
(2022年)
エルメスの2022年春夏コレクションでは、ケリードールの物語に新たな章が加わりました。
「ケリードール ピクト（KELLY DOLL PICTO）」
東京の高島屋で販売されていたバッグチャームを彷彿とさせるこのピクトは、元々のケリードールに現代的なアップデートを加えたもので、ピクセル化されたシルエットと顔の特徴が特徴です。
通常はスイフトレザーが使用されるところを、珍しくエプソンレザーが使用されています。
また、ピクトは実用的なショルダーストラップと、携帯電話が入る取り外し可能なミニ「バックパック」を備えている点もポイントです。
カラーは新たな4色が展開されています。
ナタ-Nata
モーヴシルヴェストル-Mauve Sylvestre
ブルーロイヤル-Bleu Royal
チャイ-Chai
ケリードールの価格急騰
エルメスのケリードールは、エルメスの中でもとても入手が困難なアイテムの1つとして知られています。
生産数自体が少なく、新品を手に入れるのも難しい上に、流通している数も少なくなっているので、その希少性と創造性から二次市場での価格はさらに高騰しています。
買取相場も同時に上がっていて、ここ数年で2倍以上の買取価格になっているアイテムも多数あるようです。
二次市場での取引価格は、バッグの状態や、その色や素材などによっても大きく変わりますので、売却を考えている場合は、一度問い合わせをしてみると良いかもしれません。
