ピコタンの誕生と名前の由来
ピコタンは2003年に発売された、エルメスの長い歴史からすると比較的新しいモデルのアイテムとなります。
”ピコタン”という名前は、牛や馬の餌を入れるものの単位を意味する言葉で、日本で例えるなら用途は違いますが”升”や”合”などが近いかもしれません。
またピコタンの形も餌入れのカゴを参考にしたという事ですから、馬具工房として創業したエルメスらしいデザインとも言えます。
この可愛らしい名前と、シンプルなデザインでオープン型な愛らしいフォルムで、発売と同時に人気が集中したピコタン。
現在でもその人気は衰えるところを知らず、特に人気カラーやサイズになると、エルメスの正規店でも入手困難なことが多いと言われています。
ピコタンとピコタンロック違いを比べる
ピコタンと呼ばれるものには、2003年に発売されたピコタンと、2008年ごろに新しく発売されたピコタンロックという2種類があります。
ピコタン
ピコタンロック
このピコタンとピコタンロックの大きな違いは、ロックという名前の通りカデナ(南京錠)と鍵が付属され、バッグの開口を両側で閉めてくれるベルトが付けられました。
このおかげで、中身の荷物が飛び出す可能性が低くなり、また防犯性も高くなりました。
ピコタンはすでに生産終了となっていますので、現在エルメスの店頭などで新品購入できるものはピコタンロックのみとなっています。
ピコタンの魅力
初期のピコタンが発売されてから、20年近くが経っているのですが、その人気は衰えることなく続いています。
現在までに販売されてきたピコタンには、様々な素材のものが登場し、またカラーバリエーションも豊富で、日常使いから特別な日まで、シーンに合わせたお気に入りのピコタンを見つけることができるのが魅力です。
また、ピコタンの最大の魅力の一つは、その可愛らしいフォルム。コロンと丸みを帯びた形状は、女性らしさを引き立て、どんな服装にも合わせやすいデザインです。
この正方形のフォルムに2本のハンドルがついていて、収納力も非常に高く、セカンドバッグとしてやコーデのアクセントとしても活躍してくれますし、価格帯としてもエルメスのバッグとしては比較的手に取りやすいという事もあり、支持が非常に広がっています。
ピコタンロックのサイズと重さ
横幅 | 重さ | |
ミクロ | 12cm | 約150g |
PM | 18cm | 約400g |
MM | 22cm | 約600g |
GM | 26cm | 約900g |
TGM | 31cm | 約1,300g |
ミクロサイズ
ピコタンのミクロは現在製造がされていない為、とても希少なサイズです。このサイズのピコタンを見つけるには、正規店以外で探す必要があります。
ミクロサイズは、手のひらに収まるくらいに小さく、スマホが収まるくらいの幅です。
ミニウォレットなどであれば入りますが、長財布などの大きなアイテムは入らないため、よほど荷物が少ない方でないと日常使いという感じではないです。
PMサイズ
ピコタンのPM(18)(Petit Model=プチモデル)サイズは、コンパクトなサイズ感とおしゃれなデザインが魅力です。
ミニ財布のブームと共に人気となったサイズで、スマートフォンやコインケース、二つ折りの財布や手帳も入るため、荷物がそれほど多くない方にぴったりのサイズといえます。
長財布は一般的なサイズであれば、横向きに入れることができますが、デザインや大きさによっては上手く収納できない可能性があります。
ちょっとしたお出かけ時にはもちろん、素材や色の組み合わせによっては、フォーマルなシーンでも違和感泣く持つことができます。
MMサイズ
ピコタンのMM(22)(Moyen Model=モワヤンモデル)サイズは、フランス語でミドルサイズを意味する言葉です。
PMよりもひと回り大きく、PM同様人気の高いサイズで、スマートフォンやポーチはもちろん、長財布も余裕を持って入れることができます。
タブレットも入れることができるサイズ感なので、収納性が高く普段使いにピッタリなバッグです。
また、荷物がたくさん入るだけでなく、自転車のカゴに収まる点もおすすめポイントです。
GMサイズ
ピコタンのGM(26)(Grand Model=グランモデル)サイズはMMよりも大容量サイズで、旅行時のサブバッグや子育て中の移動バッグなどとして活用の幅が広がります。
しっかりとした大きさがあるGMは、スマートフォンや長財布、ポーチなどの必需品はもちろん、ペットボトルやちょっとした着替えやタオルなども収納可能な大きさなので、小旅行に持っていくバッグとしても使えます。
また、オムツやミルクなども入れることができるので、マザーズバッグとしても使いやすいサイズ感ですが、GMサイズともなると革の厚みも増して重さも出てきているので、一度手に持って重さを確認した方が良いかと思います。
TGMサイズ
ピコタンシリーズの中で最も大きなサイズとなるTGMは、ミクロサイズと同様に市場に出回っている数が少ない希少サイズと言われています。
開け口も大きく、荷物の出し入れがしやすいので、大きい荷物もしっかりと入れられるトートバッグのように使うことができますが、GMサイズよりもさらに重たくはなってしまいますので、こちらも一度手に持って重さの確認が必須かと思います。
デザインも豊富にあるピコタン
ピコタンロック
現在”ピコタン”といえば、こちらのピコタンロックがベーシックなものとなり、本体は1色のみのワントンカラーですが、カラー展開が豊富で可愛らしい雰囲気がとても人気です。
エルメスのピコタンロックは、そのシンプルで上品なデザインが多くの方々に愛されています。
しかし、一言で「ピコタンロック」と言っても、その中にはさまざまなバリエーションが存在し、それぞれに独特の魅力と特徴があります。
ここからは、以下のピコタンロックの特別なバージョンについて見ていきます。
ピコタンロック カザック
ピコタンロック トレサージュ
ピコタンロック タッチ
ピコタンロック エクラ
これらはエルメスの伝統的な技術とクリエイティビティが絶妙に組み合わさり、一風変わったエレガンスを楽しむことができるものばかりです。
ピコタンロック カザック
2016年頃から登場したカザックシリーズは、バーキンでも展開されているシリーズであり、競馬の騎手の上着を意味している通り、明るく目立つようなカラーが特徴となっています。
中央で大胆に分かれたバイカラーデザインとなっていて、カラーの組み合わせも豊富にあり、他の人と被りたくないといったニーズに最適なシリーズとなります。
ピコタンロック トレサージュ
ハンドル部分のデザインが特徴的なトレサージュ。フランス語で「編むこと、結ぶこと」という意味の通り、異なる革同士を編み込んで製造されています。
そんなトレサージュのハンドル部分は、立体的な編み込み加工と相性抜群のヴォー・エプソンという革が使われており、エプソンの革は固くて張りがあることが特徴となっています。
編み目に使われている革は2色で、ピコタンのボディメインカラーと合わせると3つの色が楽しめるバッグとなっています。
ピコタンロック タッチ
HERMESにはタッチというシリーズがあり、バーキンやケリーだけでなく、このピコタンにおいてもタッチシリーズが展開されています。
ベーシックなピコタンロックとは違い、ハンドル部分がしっとりとした手触りが特徴の「ヴォー・スイフト」や「アリゲーターマット」、「クロコ」などで作られており、ボディ部分とは異なるものとなっています。
また、ハンドルとボディで全く異なるカラーで製造されることもあるため、特別なピコタンロックを感じることができます。
ピコタンロック エクラ
上記のピコタンロック タッチシリーズの後に登場したのが、こちらのエクラシリーズとなります。
タッチと同じくハンドル部分がボディ部分と異なる素材が使われていますが、エクラシリーズでは「ハンドルの内側」のみが違うデザインで、色の組み合わせ、展開も保津でお好みのものに出会えるかもしれません。
ピコタンに使われている素材
エルメスのピコタンバッグは、その美しいフォルムと魅力的なデザインだけでなく、使用される素材にも注目が集まっています。
それぞれの素材は、触感や光沢、耐久性など異なる特性を持ち、バッグの雰囲気を大いに左右します。素材の選び方はファッションを一段階上げる重要な要素でもあります。
ここからは、ピコタンが使用する主な素材と、それぞれがもたらす独特の魅力と特性について、詳しくご紹介します。
トリヨンクレマンス
ピコタンシリーズの主な素材は、こちらのトリヨンクレマンス(Clemence)となります。トリヨンクレマンスは雄牛のレザーで、特有の柔らかさがあり、エルメスが使用している革の中でも群を抜いて柔らかい革となっています。
フォーマルな印象になりがちな固い革素材に比べて、柔らかいトリヨンクレマンスはカジュアルな場面でも活躍してくれますし、傷やスレにも強く目立ちにくい型押しで、使い込むほど馴染んでくる素材です。
トリヨンモーリス
トリヨンモーリス(Maurice)は、クレマンスと同じく雄牛のレザーで、クレマンスの柔らかさはそのままに、クレマンスよりも目がきめ細かい、ほんのりマットな風合いが特徴の素材となっています。
ドブリス(Debris)
ドブリスはスエード素材のことを指し、スエード特有の温かみと圧倒的な可愛らしさが、大人気のピコタンの魅力をさらに引き立たせてくれます。
アリゲーターマット
ミシシッピワニとも呼ばれるアメリカ・ミシシッピ川に生息するワニの革に、ウールのフェルトを用いて機械的に斑を研磨してマット加工を施したもので、通常の光沢感あるワニ革とはまた違った質感を味わうことができます。
ピコタンの国内正規価格と中古相場価格
エルメス正規店でも入手困難なものや、人気が高いカラーやサイズなど、中古相場価格が正規価格より高くなっているプレミア価格のものも多く見られます。
国内定価 | 中古相場 | |
ミクロ | 251,000円 | 80〜100万円前後 |
PM | 337,000円 | 40〜70万円前後 |
MM | 367,000円 | 35〜65万円前後 |
GM | 419,000円 | 30〜50万円前後 |
TGM | 490,000円 | 30〜50万円前後 |
中古品はアイテムコンディションやカラー、年式、素材などによっても価格帯は変わってきます。
またメルカリ等の個人売買だと、相場価格帯から外れたものと出会う事もできるかもしれないので、中古品というのも選択肢に入れてみるのもアリかと思います。
ピコタンを購入できる場所
HERMESの直営店
HERMESを取り扱っているお店
海外からの買い付け
中古ブランドショップ
個人売買サイト
HERMES(エルメス)の直営店
当然ですがピコタンはHERMESのアイテムですので、各HERMESの店舗で購入することが出来ます。
ピコタンは「フリーでも購入できたと」「エルメスデビューはピコタン」という話しが多くあるように、通常の状況であれば出して頂けるアイテムかと思います。
しかし2022年時点では品薄で在庫がないという状況が続いているので、購入には足繁く店舗に通いタイミングと運が必要になってきます。
また、やはり担当の方が付いて、利用実績が積み上がっていくほうが紹介して頂ける可能性はグンッと上がるのは間違いありません。
こちらは担当さんにもよるという事なので、担当さんとの相性などもあるかもしれません。
HERMESを取り扱っているお店
HERMES直営店以外にも、エルメスのアイテムを取り扱っているお店はあり、特にエルメス専門で販売しているブティックなどであれば、ピコタンはもちろん、その他のシリーズのバッグや財布、また日本未入荷品や限定商品なども購入することが可能です。
ただし直営店ではないので、特にオンラインなどで購入される際には、ショップが信用できるものであるかどうかを見極める必要があります。
海外からの買い付け
日本の百貨店に入っているHERMESショップや、路面店のHERMESショップなどでは在庫が品薄状態ではありますが、海外だと店頭に並んでいたという話もありますので、海外旅行に行った際などに店舗に行くと出会えるのかもしれません。
また、自分は海外旅行などに行く予定がないという場合、BUYMAのようなサイトを利用して海外から買い付けて頂くという方法もあります。
こちらの場合も、ショップやバイヤーさんが信用できるのかどうかを、しっかりと見極める必要があります。
中古ブランドショップ
新品にこだわらなくて良いという場合、中古のピコタンを探してみるのも選択の1つです。
なかには中古品といえど、ほぼ新品状態のものであったり、ほとんど使用されていないようなのもありますので、出会うことが出来れば買いかと思います。
ただ、上記でも記載しているように、品薄状態が続いている現在では、中古品の方が定価よりも高くなっている場合もあるので、どうしても欲しいカラーや欲しいサイズなどであれば利用すると良いかと思います。
個人売買サイト
メルカリやラクマなどの個人売買サイトでも、HERMESのアイテムは多数出品されているので、こちらもタイミングによっては欲しいものと出会えるかもしれません。
ただし、詐欺のようなアカウントも多数存在していますので、あまりにも価格が安いアイテムや、出品者の評価履歴などをしっかりと確認し、信用が出来る!と言った場合のみ利用すると良いかと思います。
編集後記
今回はエルメスの大人気アイテム”ピコタン”を紹介してきましたが、やはり一度は持ちたい憧れのアイテムであり、店頭で出会えた際には運命を感じざるを得ないかと思います。
現状、在庫は非常に品薄状態が続いていますので、より一層出会うことが難しい状況ではありますが、その影響もあり中古品の価格が非常に高騰していますので、購入するにしては二の足を踏んでしまいますが、売却するには絶好の機会とも言えます。
元々リセールバリューも良いピコタンですが、現状は更に良い価格を提示していただけるので、「ピコタンを購入したけれどクローゼットに眠ってしまっている…」といった場合には、一度買取店などに持って行ってみるのも良いかと思います。